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毎水曜連載

「社会との接点と連携の展開」

ファミリーホームはなの家 代表 石川 浩子

第6回 ボランティアとの関わり

支える会は、多くの人たちの支援と善意に支えられているため、はなの家には児童福祉関係以外の見学者やボランティアなど実に多くの人たちが出入りしている。対応に追われることも少なくない。しかし、そういった環境を落ち着かないと感じられるか、オープンと捉えられるかは、出入りする人たちがどれだけファミリーホームを理解して関わろうとしているかによる。
ファミリーホームは、そこで暮らす子どもやその養育者にとっては家庭であり生活の場である。ボランティアの出入りは、思春期の子どもたちにとっては快く思われない場合もある。また、子どもが素の自分をさらけ出し、抱える課題が噴出してしまうことや、ここに来るまでの育ちの経過など個人情報が飛び交うこともある。子どもへの偏見が助長されたり個人情報が外部に漏れたりしないように、子どもたちがいる生活の場に外部の人たちを受け入れる際には、あらかじめ子どもの状況について率直に伝えておく必要があると思っている。

中・高生男児の胃袋を満たすための分量の食事とそこに割く時間は容易ではないことから、現在ボランティアにお願いしていることの中心は、夕食づくりである。始めるにあたり最も大切なことは、子どもたちへの説明と理解を得ることである。そうでなければ、子どもたちにとっては「嫌なこと」になってしまう。当初は「お客さんがいると緊張する。落ち着いて食べられない」という意見もあったが、回を重ねるごとに交流も深まり「顔見知りのおじさん、おばさん」として受け入れられるようになってきた。また、この日のために子どもたちに予定を合わせるようにとは言わないが、食事のクオリティーも普段と違うことから集合する傾向がある。

ボランティアとの関わりは、子どもたちには市民感覚が醸成され、私たちにとっては鈍くなっていた市民感覚を呼び戻してくれる機会となっている。そして何よりも社会的養護に対する協力者となってくれていることに感謝したい。

季刊「児童養護」2018 Vol.49 No.3 掲載

メディア掲載

下野新聞「日曜論壇」に掲載されました

下野新聞 令和4年9月25日付 4面

下野新聞の「日曜論壇」に、栃木県児童養護施設等連絡協議会長の記事が掲載されました。

下野新聞 令和4年9月25日付 4面」(PDF:112KB)

毎水曜連載

「社会との接点と連携の展開」

ファミリーホームはなの家 代表 石川 浩子

第5回 関係機関との連携(2)

社会的養護につながってくる子どもたちの養育は、その子の成長発達の中途から始まる。学校には、新しい環境に適応する過程で起きる子どもの行動や、不適切な環境下での育ちの影響などを児相と連携しながら伝えるようにしている。また、学校へ日常的に訪れ、先生方と直接情報交換等もしている。現在、はなの家では5人の中・高生男児が暮らしている。決して安泰な日々ばかりではなく、子どもの問題への対応に追われることもあるが、こうした連携が困った事態を想定内の事態として受け止められて、迅速な対応につながっているように思う。
このように学校は、私にとって子育てチームの一員であり、養育するうえでとても心強い存在となっている。

季刊「児童養護」2018 Vol.49 No.3 掲載

不定期更新

『子どもと生きる・あまえ子育てのすすめ』

いちご縁文庫内にある、本の紹介

今回は10月14日開催の特別講演にお呼びする澤田先生の著書を紹介します。

子どものあまえと聞くと、あまえさせてばかりでいいのかなと考えてしまう方もいるかもしれません。
この本を読むと、なぜ「あまえ」が必要なのかがとてもよくわかります。また、抱っこやおんぶ、遊び、読み聞かせなど日常の中でできる子どもとの関わり方がわかりやすく書かれており、子どもの気になる症状についても症例を用いて具体的に説明されています。乳幼児期から思春期まで全年齢の子ども達を育てている方に読んでほしいと思う一冊です。

今回の特別講演の題名にもなっている、「心の響き合い」。とても素敵な言葉です。
本書の中に


『家族との間に、友人との間に、職場の同僚との間に心の響き合いが感じられていれば、私たちは、小さくあっても、確かな幸福感のもとに生きていくことができます。』
(『子どもと生きる・あまえ子育てのすすめ』澤田 敬 著/童話館出版/2016年8月20日改訂版発行)

とあります。すべての人たちの心に伝わる言葉ではないでしょうか。

毎水曜連載

「社会との接点と連携の展開」

ファミリーホームはなの家 代表 石川 浩子

第5回 関係機関との連携 ⑴

学校や児相をはじめとする関係機関とは、日常的かつ積極的な関わりを心がけている。


はなの家は県庁所在地である宇都宮市にあり、周辺には乳児院や児童養護施設、母子生活支援施設などの社会的養護関連の施設も多く、特に児相は徒歩10分くらいの近距離にある。
互いの行き来も容易であり、問題発生時の対応ばかりではなく養育相談などシングルマザーの私にとって心強い存在である。また、担当の児童福祉司に一緒に食事をしてもらったり、お祝い行事に招待したり、ともに子どもの成長を見守る機会をつくるようにしている。


施設や里親家庭に限らず、すべての人たちの子育ては家庭内だけで完結するものではない。むしろ、成長とともに社会に育ててもらうことが多くなる。特に子どもたちが1日の大半を過ごすことになる学校との連携は重要であり、欠かすことができない。
保護者として学校との関わりが増えていくなかで、高校のPTA会長としての要請を受けたことがある。幸いにも子どもの理解が得られたため、里親家庭であることを伏せずに活動し、学校や保護者だけではなく教育機関のネットワークにも社会的養護である里親制度やファミリーホームについての理解を深めてもらうことができた。同時に、同じ世代の子がいる一般家庭の状況をも垣間見るなど、私自身の社会化でもあったように思う。こういった機会を与えてくれた学校関係者や子どもに感謝せずにはいられない。

季刊「児童養護」2018 Vol.49 No.3 掲載

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「社会との接点と連携の展開」

ファミリーホームはなの家 代表 石川 浩子

第4回 社会的養護の当事者との関わり

私が施設勤務時代に関わった子どもたちの多くは、すでに社会人となり、それぞれの生活を送っている。彼らは私にとても大きな影響をもたらす存在である。
そのなかのひとりが、社会的養護の当事者のためのサロン「だいじ家」の代表を務める塩尻真由美である。はなの家の補助者としても働いていた。当事者である彼女の感性や視点は、当然私とは違う部分がある。良かれと思ってのことが「子どもの気持ちは違う!!」と一刀両断されたことや、養育する側の意見が相容れない感情や誤解を生じさせたことも少なくない。しかし彼女の経験は、施設で暮らす子どもたちの実情や親への思い、求められる職員像など、私が思ってもみなかったことも多く、考えさせられることばかりなのである。
現在彼女は、結婚し育児に専念している。結婚前の数年間を私と暮らしていたこともあって、さながら嫁に出した娘のような関係であり、「孫」を連れて里帰りもする。出産子育て、そして母親になっていく過程で、たくさんの人たちとつながる大切さを子どもたちに見せてくれている。

私との関係で、はなの家には安定した生活を送っていない当事者たちも出入りしている。食材を持たせることもある。お金を返しに来る人、借りに来る人がいる。できれば子どもたちには見せたくない姿の場合もあるが、応接室がないので隠しようもない。ありのままの現実や私とのやり取りの様子もまた、子どもたちには社会を学ぶ機会となっているのである。

季刊「児童養護」2018 Vol.49 No.3 掲載

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ファミリーホームはなの家 代表 石川 浩子

第3回 はなの家開設まで

私は児童養護施設(以下、施設)の職員を永く勤めており、施設を辞めてから里親登録をした。私の里親人生は、当時勤務していた施設にいた男児Aの養育を委託されたことから始まる。彼は児童自立支援施設から里親委託となったのだが、1年で里親不調となり、私のところにやってきたのは高校1年生の時だった。
児相が単身である私への委託を決めた理由は、以前からの顔見知りだったためにマッチングの必要がなかったことや、施設職員としての経験があったからだが、それよりも高校を退学しても面倒を見てくれるだろうと思ってのことだったようである。後に児相から、Aが高校を卒業できるとは考えていなかったと聞かされた。
Aを預かった直後から請われて児童養護施設養徳園(以下、養徳園)で働くことになったが、里親と施設職員の両立はとても「濃い」日常となったことは言うまでもない。永らく社会的養護の担い手として現場に携わっていたにもかかわらず、里親としては思うようにならない日々に自分の非力を思い知らされたのである。幸いにも、私の周辺は社会的養護に携わる人ばかりだったので、愚痴を聞いてもらったり、すぐに相談することができたりと、どれほど皆さんに助けられたことか。


その後、養徳園の福田雅章施設長(支える会事務局長)から「バックアップするからファミリーホームをやってみないか」と背中を押され、ファミリーホーム開設へと動き出した。私自身は養育者としての資格要件は満たしていても、夫婦型ではない自信のなさや不安を感じてもいた。しかし、施設や自立援助ホームには、これまで培ってきたノウハウやたくさんの人たちによる物心両面に渡る支援体制があった。だからこそ私はファミリーホームに従事する決断ができたし、今日に何とかやってこられていると思っている。

季刊「児童養護」2018 Vol.49 No.3 掲載

不定期更新

絵本『ふうこちゃんのたんじょうび』

いちご縁文庫内にある、本の紹介

5歳の誕生日を迎える、ふうこちゃんに、お母さんがとても大切な話をします。

丁寧に、そして優しく温かく、ふうこちゃんに接するお母さんに感銘を受けます。

周りの人たちの温かなまなざしも心地よく感じました。

真実告知について、悩まれている方も多いと思います。

子どもの心に寄り添った伝え方、伝えたあとの関わり方などのヒントがたくさんあります。

とても参考になる1冊です。お子さんと一緒に読んでみてはいかかでしょうか😊

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「社会との接点と連携の展開」

ファミリーホームはなの家 代表 石川 浩子

第2回 支える会について

支える会は、21年前に自立援助ホーム「星の家」を設立するために作られた組織である。
資金も何もないところから始め、たくさんの人たちの支援を得て今に至っている。
近年では栃木県内の児童福祉関係者や団体と協働し、児童虐待防止活動等の中心的役割を担い、先駆的な取り組みを実践展開している。
2017(平成29)年末、これまでの活動に対して内閣府より総理大臣表彰を賜った。

季刊「児童養護」2018 Vol.49 No.3 掲載

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「社会との接点と連携の展開」

ファミリーホームはなの家 代表 石川 浩子  

第1回「はじめに」

「はなの家」は青少年の自立を支える会(以下、支える会)を運営母体とし、2014(平成26)年元旦に開所した。6名定員だが、うち1名枠は児童相談所(以下、児相)からの委託一時保護や栃木県宇都宮市とのショートステイ契約の受け皿としている。現在5名(中学生男児1名、高校生男児4名)が入居している。

ファミリーホームはその成り立ちによって、里親型・法人型・施設職員独立型などと言われている。一般には、里親としての経験を積んだ夫婦がファミリーホームへと発展する里親型を強くイメージされるようだが、はなの家は「シングルマザー」のファミリーホームである。主たる養育者である私のほか、常勤のスタッフ1名(女性)、パートのスタッフ2名(女性)が子どもの援助にあたる。

季刊「児童養護」2018 Vol.49 No.3 掲載

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